〜春公演の劇中で最も印象深かったナオさんのシーン〜 セラミュの登場人物について、日頃は、アニメやコミックスの性格づけとはまたひと味違う、 そのキャストさんならではのキャラクターづくりを楽しんでいます(それで新たに好きになった 登場人物も)。 が、そうしていても、原作のキャラクターの面影が舞台上の登場人物によってあざやかに 思い浮かぶときは、原作つき作品ならではの感動があります。 2001年春公演で印象的だった、ナオさんのシーンは、まさにそういうシーン でした! 第1幕、はるか達外部戦士が、うさぎには黙って戦いにおもむくため、モナコに行く、と 告げるシーン。ただの旅行だ、という顔で、旅行の計画を告げるはるか達、でも、衛さんに、 「(モナコでは)グランプリの準備も?」とたずねられて「ああ」と答える声の微妙なかげりで、 それは嘘なんだ、とすぐにわからせるところ。 その後、「使命を忘れたのか」と厳しく問うせりふ、「あなたがいると、足手まといだ」と うさぎちゃんに放つ言葉、そして、みんなに守ってもらってばかりで孤独を感じる、という うさぎちゃんへの「孤独なんて言葉、軽々しく使うなよ」と、微かに笑いを含みながら言うせりふ、 遠い星にただ一人いて太陽系を守ってきたという言葉など、文字で読んでもアニメのはるかを 思い出してじんとしてしまうような場面の連続。 そのひとつひとつを、ナオさんのはるかは、そのイメージをより鮮やかに浮かび上がらせるように 演じてくださったと思います。この一連のシーン、アニメのいくつものシーンともからみあうように、 忘れがたいシーンになっています。 そしてもう一度ふり返ってみると、そのシーンをそれほどまでに鮮やかなシーンにした、 そのはじまりは、文字で見ただけでは何もわからない短い一言、あのナオさんはるかの 「ああ」の、なんとも微妙な響きだったんだなあと、あらためて思うのです。 「足手まとい」と言われて思わず詰め寄るうさぎちゃんから、自ら放った言葉への つらさも耐え難く逃げるように一歩を遠ざかる姿とか、最後に一言、「甘ったれるな」と 言い残して去ってゆく口調に込められた、優しさや寂しさ。 ナオさんの演じるはるかは、近頃では本当に円熟味を増してきている。そんな気がします。 |
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